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なとり、愛して。

  • 季節で違うおいしさを何度でも楽しんで
    せり農家
    三浦 隆弘さん

    名取市は県内有数のせりの生産地。伊達政宗の時代から400年以上せりを栽培していると言われていて、今もあちこちに畑を見ることができます。せり農家に生まれ、25年近く栽培に携わる三浦隆弘さんは、「せり鍋」を名物にした仕掛け人でもあります。せりの魅力とおいしさを伺いました。

    ―せり栽培の魅力はどんなところですか?

    せりのおもしろいところは、正直なところ。気候変動にも敏感ですし、畑を通じて生態系の豊かになります。この畑にもトンボや蝶など、さまざまな虫がいます。せりの畑のなかで、さまざまな植物や生き物が生命活動を営んでいます。感覚的には、毎日自然観察をしている感じがありますね。

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    ―三浦さんのこだわりはどんなところですか?

    名取のせり農家さんは、みなさんプロフェッショナルとして試行錯誤を重ねていいものをつくっていますが、私の畑の特徴は、せりの周りの生態系の豊かさだと思います。せりは土や水が豊かでないとおいしくは仕上がりません。風土は風と土と書くでしょう。名取の空気、土、水に裏付けされたおいしさをつくることを大切しています。せりを食べて、そういう豊かさを感じてほしいと思います。


    ―せりのおいしさはどんなところですか?

    せり鍋は12月くらいの寒い時期によく出ますが、季節によって違ったおいしさがあります。10月、11月のせりは葉っぱが大きいので、スープを巻き込んで出汁の味わいとのマリアージュが楽しめます。せりの根っこがおいしくなるのは寒い時期。寒さでうま味と甘みが根に貯まるんですね。1月、2月まで根っこにうま味が貯まる時期が続き、あたたかくなって3月くらいになると、葉っぱの部分に太陽の恵みをうけるようになります。山菜のように香りがよくなるんですね。この時期のせりをしゃぶしゃぶにして食べるのは、非常においしい。

    このように、季節の移り変わりを楽しめるのがせり鍋なんです。冬だけでなく、さまざまなシーズンのおいしさを楽しんでいただけたらと思います。

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    ―せり鍋をおいしく食べるコツはなんですか?

    せりは、このあたりの地下水脈の水で成長します。お酒を合わせるなら、同じ地域でつくられた日本酒などをぜひ試してみてください。魚介類も合うと思います。そういう、どこでつくられているかを意識した合わせ方をすると、おいしい食卓が出来上がるのではないかと思います。


    ―名取のせりの未来をどのように考えていますか?

    せりは、400年前からこの地でつくられている野菜です。私は今そのバトンを受け取っている段階ですので、100年後、200年後の生産者にせり栽培のバトンを渡すのが、役割だと思っています。